舞台写真家【廣津孝平、】やったもん勝ちドイツ日記

音楽留学からカメラマンに転向したドイツ・ベルリン在住の舞台写真家【廣津孝平、】のBlog。ヨーロッパ中のオペラやコンサート撮影、カメラマンとして日々思っていること、写真のことや趣味のソフトボール、我が家の猫たち、バイクのことなどツラツラ綴ります。

僕が学生用プロフィール写真を安く請け負ってる理由

これまでいろんな方々のプロフィール写真を撮影させていただきました。
現役バリバリのプロの方もいますし、プロを目指して頑張っている若者たち。
みなさんが僕の撮影した写真を使ってくれることは大変嬉しいです。

さて、今日は少し僕の経験を踏まえたお話。

僕は学生用のプロフィール撮影の料金を安く設定しています。
理由は、【学生割引】と言えば簡単ですが、ただシンプルな学割ではありません。
僕なりの想いがあります。

みなさんご存知の通り、もともと僕もトロンボーンをやってました。
【プロになりたい】と思っていましたし、いつかなってやると意気込んでドイツに来ました。
結果は残念ながら口を壊して楽器を辞める決断をしました。

もちろん、僕が真剣に音楽をやっていた人間だからこそ、これから世界に出て行く音楽家の卵たちの応援をしたい気持ちもあります。
でも、学生だからお金が大変とかそういう理由で安く設定しているのではありません。

例えばプロアマ問わず、一律の値段で請け負うのが理想ではあります。
でもなぜ安く値段を設定しているのか。

それは、安く済んだ分のお金を使って、ちゃんと楽譜を買ってほしいからです。

これはあくまで僕の経験したこと思ったことなので、どう思うかはみなさんの自由です。

僕が大学に入って、試験などで演奏した曲を思い返すと、コピーさせてもらった楽譜を演奏した時と、ちゃんと自分でお金を払って購入した楽譜を演奏した時では、演奏後の反省や満足度は、自分で楽譜を買った曲の方が充実していたからです。

楽譜を買うということは、その曲を作った作曲家に対する【敬意】だと僕は考えています。
楽譜には作曲者の思いが込められています。どれだけ出版社で印刷されていたとしても、仮に3500円の楽譜には、100%作曲者からの奏者に対する感謝や応援の気持ちが含まれていると僕は考えています。
それをコピーしても、音符はコピーできても作曲者からの気持ちはコピーできない。
一枚10円でコピーした楽譜で演奏しても、作曲者が応援してくれるはずがないんです。
楽譜を買えば財産になります。コピー譜は経験にはなりますが財産にはなりません。

僕は大学時代のある日そのことに気がつきました。
それから僕は楽譜をコピーせず、ちゃんと買うようになりました。ピアノ伴奏譜はコピーしましたが、自分の演奏する楽譜は原譜を使ってました。
特に大学4年の時は試験やおさらい会、カルテットは全て原譜を使い,大学生活の中で最も充実し、自分で言うのもなんですが、最も自分が成長できた一年だったと思います。
卒業試験はなかなかハードな曲を演奏しましたが、僕の中では反省もそれ程なく、演奏中はものすごく楽しかったですし、自信満々で演奏を終えることができました。

こういう自分自身の経験が、今の自分につながっています。

音楽を真剣にやった人間だから、演奏者の気持ちがわかります。
演奏者がどのような情熱を持ってステージに立つのか理解しています。かつて僕もそうでしたから。

それが僕の舞台カメラマンとしての武器だと思っています。
もっと演奏者の情熱をしっかり撮影できる写真家になれるようにこれからも精進していきます。




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オペラ+プロジェクトマッピング

ここ最近、舞台写真家として忙しく動き回っております。

先日、コミッシェオーパーベルリン(Komische Oper Berlin)からプレスに公開される撮影可能のリハーサルを撮影してきました。

このコミッシェオーパー、時々ですが演目をプロジェクトマッピングという技法を使って舞台の演出をしています。
舞台全体が白い壁(スクリーン)。様々な映像が映写され、舞台上の役者と映像との絡みを楽しむことができますが、いかんせん相手は映像。微妙なタイミングのズレが気になるときもしばしば。

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でも実際の舞台では演出がほぼ不可能な巨人(?)とのテンポある掛け合いなどが楽しめるのは見る人は飽きないかもしれません。

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これもタイミング合わせるのが大変そうでした。

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こういう演出ができるのもプロジェクトマッピングの醍醐味。

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巨大なネズミを一発で仕留めたり。

ただ、個人的に思ったことは、音楽を楽しむ余裕があまりないこと。
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ご覧のように、人はこのサイズなのに、舞台いっぱいが目まぐるしく映像が変わるため、視覚情報が多い。
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僕も1回目撮影して、次の舞台無しのオケだけのリハを客席で聴いて、ようやく音楽を楽しめたと言った感じ。せっかくの良い演奏に、耳があまりついていけないのが残念に思えました。

こう言った演出は好き嫌いがはっきり分かれると思います。
一回コミッシェオーパーの魔笛は見てみたいとは思いますが、もしみなさんがプロジェクトマッピングの演出をみるのでしたら、できるだけ後ろの真ん中の席で無理に目を動かさなくても、舞台全体が視界に入る席の方が、目も疲れず、音楽と一緒に楽しめるのではないかと思います。

興味のある方は、一度お試しください。




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【月に憑かれたピエロ】【兵士の物語】

この1週間、インフルエンザでぶっ倒れていました。
まだ本調子ではなく、鼻の奥に変な重さというか、まあ鼻水なんですが詰まっていまして、さらにおでこのあたりまでズーンと留まっている感じがあります。

先週金曜日に撮影した舞台(湖の撮影の後に帰宅してぶっ倒れてしまいました。)の写真をぶりかえさないように、この数日かけてゆっくり選別、編集していました。

まず、今回撮影したのはアーノルド・シェーンベルグ作曲の【月に憑かれたピエロ
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なかなか独特な雰囲気のある舞台でした。場所もホールのステージではなく、工場跡地を改装したイベントスペース。ベルリンはこういった箱がたくさんあります。


そして二つ目はストラヴィンスキー作曲の【兵士の物語
ウィキペディアによると演劇、朗読、バレエを総合した舞台作品とあります。
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その他の写真はこちらから。


恥ずかしながらストラヴィンスキーがこのような作品にも携わっていたとは知りませんでした。
なんか、彼らしからぬと言いますか。でもこの曲について色々と調べていたら、ストラヴィンスキーにとっても現状打破のために取り組まざるを得なかった作品だったようです。


さて、来週はまたベルリンのオペラ二つから撮影の招待が来ました。
もっともっといい写真撮れるように頑張ります!



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Staatsoper Berlin : Manon Lescaut (マノン・レスコー)

先日、Staats Oper Berlinの公演、プッチーニ作曲のオペラ【Manon Lescaut】(マノン・レスコー)の撮影をさせて頂きました。

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6年ぶりにBeelitz

先週末は珍しく天気が良かったので、久々に妻とバイクでお出かけ。
思い立ってベルリンから南西へ40km行ったところにあり、かつて僕が廃墟写真を撮影した廃病院へ。

出発前にネットで場所を調べたら、どうやら観光地化しているようでした。

6年前は鬱蒼とした森の中に佇む廃墟群が、今となっては地上20mくらいのところに遊歩道のようなものができ、入場料も徴収されている。
まずは行ってみようという事で、バイクで約50分。

廃墟の周りにはバリゲードが築かれ、容易に入ることが出来なくなっていた。
以前来た時は、風が吹く音と鳥の囀りだけが響く場所だったのが、子供達が騒ぎ、犬が鳴き、人々の声に溢れかえる空間に変わっていた。

妻と中を歩きながらかつて自分が入って写真を撮った建物の周りを眺めながら6年前の記憶を思い出していた。

いくつかの廃墟が立ち並んでいるところではあるが、一番大きいのが廃病棟。そこに入るのも10ユーロ。しかも1時間だけ。1時間後にはメインエントランスには戻ってこなければいけないが、建物内は立ち入れる場所は自由に回れる。写真撮影も自由。

時間制限がある中で、昔の記憶を辿りながら、建物を移動し撮影して回った。
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手術室は吊るされていた照明は撤去されていた。
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そして最後に妻を撮影。
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6年ぶりに中に入って感じたことは、この廃墟の中も時間は進んでいるということ。
今ではたくさんの人が中に立ち入っているからだと思いますが、至る所が思った以上に朽ちていた。
時間が止まっているようだなんて表現される場合もありますが、この場所はある意味、息を吹き返したかのように、時間とともに人の手によって形が変わっていくだろうと感じた。


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